日々の研究

原材料の研究と暮らし方

ノッティングのしきもの作りの他に、糸の原材料であるコットンの栽培を行っています。植物の繊維から糸を紡ぎ、紡いだ糸を束いて織物の材料とする。それを少しずつ折り重ねてやっと織物が出来上がる。そのプロセスの一つ一つが暮らしの道具を作る重要な要素であり、同時に自然の恩恵で私たちの暮らしは成り立っていることを知る。
普段の生活の中で、百貨店や店舗に並んでいる商品に触れるだけでは想像のつかないことも、少量でも実際に育て、活用してものを作ってみることを、ものづくりに携わる一人として大切にしています。

私の暮らす西粟倉村は、山深い原流域の集落です。そのため水はとても美しく、空気が澄んでいます。山々に囲まれた自然の中での暮らしとともに、日々の発見と、忘れてはいけないものと向き合いながら制作に励んでいます。

初めはコットンの繊維を糸上にする作業がとても不慣れでしたが、次第に慣れてきます。古来から続く糸紡ぎの方法は、静かに時間が流れる音がします。
紡ぐ音をかなでながら、周りにも耳を済ませると山々の息遣いも聞こえてきそうです。

布や織物にとって、原材料の質が重要なことと同じで、ものづくりにおいても周囲の環境や、作り手の心や姿勢はとても大切なことだと思います。
おの場所から、心地よいものを少しでも世界の誰かに伝えられることを祈って、ものづくりの挑戦を続けています。

染めることの研究

藍を使った藍染や、草花から染料を抽出して繊維を染める研究も行っています。自然の発色はおどくほど鮮やかで多様です。そして時間とともに変化していきます。日々の経年変化を美しいと感じることは、私たちが、ゆとりのある心もちで楽しく生きていくことに対して尊いことのような気がします。
山が育んだものが川になって流れ、海に出て多くのいのちの源になって、また戻ってくる。私たちのものづくりも、そんなサイクルの中で循環することを大切にしたいと思います。

PAGE TOP